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ミズナラ

ミズナラ
樹種名(別名)
分類
学名
英語名(主に木材名)
ミズナラ (オオナラ)
ブナ科コナラ属
Quercus crispula
Japanese Oak
最大樹高
樹木の特徴(キーワード)
30M
陽樹・落葉高木・互生(葉)・花期5~6月・果期9~10月・分布(日本全土 千島 寒冷地に多い)
木材用途
木材特徴
高級家具材・洋酒樽
環孔材・美しい虎斑(シルバーグレイン)が入ることがある。

誰でも知っているドングリの木(ナラ類の紹介文)
ドングリコロコロの童謡で日本人で知らない人のいないドングリは、ミズナラを初めとするナラ、カシ類の木の実です。実はデンプンなど栄養たっぷりですが毒(タンニン、サポニンなど)を含んでおり、人はそのままでは食べられません。しかし、リス、ネズミ、熊、鹿など野生のほ乳類にとっては冬ごもりの最大の食料となります。動くことのできない木は種を遠くに運ぶことができません。リスやネズミや鳥のカケスはドングリを集め、離れた場所で土の中に貯蔵しておく習性があります。埋められたドングリの中にはそそっかしいリスたちに忘れられたりして来春まで食べられずに残るものもあり、それらが発芽することでドングリの木は元の木とは離れた場所で子孫を残すことができるのです。
北海道にはドングリをつけるコナラ属のうち冬に落葉するナラ類は4種類あります。一番多く広く分布するのはミズナラで、全道の平野部や海岸部に分布するカシワ、札幌以南に分布するコナラ、北部の海岸林に分布する謎の多いモンゴリナラ、の4種になります。

ヨーロッパでは森の王と呼ばれる
Oak(オーク)は日本では樫と訳されることが多いですが、通常は落葉樹のナラ類を指すことが多いとされます。常緑樹の樫を指す場合は、live oak(ライブオーク)と言う方が正確です。
ヨーロッパの神話にも登場するオークは、Strength(力強さ)とEndurance(生命力)の象徴とされています。イギリス(イングランド、ウェールズ)、フランス、ドイツなどたくさんのヨーロッパ諸国やアメリカ合衆国で、国の木とされているほど重要な木となっています。ヨーロッパのオークは日本に自生するナラ類よりも大きくなり、巨大なオークの木にヨーロッパの人々が畏敬の念を抱いたのでしょう。威厳を感じるその姿は、男性に例えられることが多く、オークは森の王、ビーチ(ブナ)は森の女王と呼ばれます。日本のミズナラはヨーロッパのオークほどは大きくなりませんが日本のナラ類では最大で、数百年という長寿の木であり、森林の中では大木に分類できる大樹になります。冷涼地を好むミズナラは北海道では他の広葉樹や針葉樹と混生し、森の中でよく出会うことのできる親しみの持てる王様といったところでしょうか。

ワインやウイスキーのミズナラ樽
ナラ(オーク)は、ワインやウイスキーの樽として使われています。日本でも輸入されたオーク材をワインやウイスキーの樽として使われることが多いようですが、近年は日本のミズナラを樽として使って作られたウイスキーやワインの評価も高く、人気があるそうです。ナラ材は導管という根から水を吸い上げるための孔が太く目立ちます。ウイスキーやワインの樽に使われるのに、この孔から水は漏れないんだろうかと思いませんか?実は、ナラの仲間は導管内にチロースと呼ばれる特殊な構造があって液漏れが起きないようになっているんだそうです。(でも、水が漏れないようになっているなら根から水を吸い上げるのでしょうか?誰か調べて教えてください。)

木材としてのミズナラ(道産の楢)
ヨーロッパのオークの生産国と言えば、ワインの国フランス。日本など植林と言えば針葉樹が主である国が多い中、フランスではオーク(ナラ)やビーチ(ブナ)などの広葉樹が盛んに植林され、今なお大径木のオークが出荷されています。一番の理由は、フランス人の大好きなワインやウイスキーの生産にオークが必要だったからでしょう。オークの水が漏れないという特徴によって、オークは船の甲板(しばしば軍艦用)としても利用されました。右の写真はフランスのオークの製材所で撮影したオークの製材です。まっすぐで直径の大きなホワイトオークですが、これらは植林から生産された木材です。

日本はどうでしょう。もともと人の手が入りやすかった本州では森林は里山として利用されたり、針葉樹が植林されていて、広葉樹の大径木が残る森林は多くは残っていませんでした。しかし、北海道には、戦後まで大径木が多く残る自然林が残っていたため、それに目をつけたヨーロッパ人によって大量に伐採され、ヨーロッパに輸出されました。それまでミズナラは日本では木材としては価値の低い木とされていましたが、寒冷地で育ったため木目が緻密で加工性も良いということでヨーロッパでは高級家具材として高く評価されました。
しかし、日本では広葉樹の植林はほとんどしてきませんでした。北海道でも植林はトドマツなどの針葉樹が多く、ミズナラはもっぱら天然林からの伐採だけ。昭和後半には、平地や沢沿いなど取りやすい場所にあった大きなミズナラのほとんどは取りつくされ、今、身近で見ることのできるミズナラの多くはその後成長したミズナラなのです。しかし、少数ですが森の中や町の中にも大きなミズナラがあります。例えば、道民の森の大ナラ。真駒内の大ナラなどです。これらは低い位置で枝分かれしてしまったり、中が腐って空洞になっていたため、木材としては価値が低く、その場所に取り残されたのだと思われています。
今も以前とは比べようがなく少量ですが、北海道でもミズナラが伐採、生産されています。これは針葉樹中心の植林や二次林の中に自然と生えたミズナラだったりするそうです。残念ながら、昔のような大径木のミズナラはほとんど見ることができません。しかし、寒冷地である北海道で育ったミズナラの木材としては評価は変わりなく今では日本の誇る広葉樹として高級家具材などとして主に国内で利用されています。
今では貴重となってしまったミズナラですから、例え端尺(家具などそしては使えない長さ)になってしまったミズナラでも、大切に利用したいものです。

(写真 道民の森の大ナラ)
道民の森のオオナラは、周囲6.4mで直径は2.1m、推定樹齢450年以上といわれ、全道で10番目の巨木です。中心部が腐って空洞になっているため、樹齢については台風で折れた大枝の直径と年輪から割り出されたものだそうです。この中心部の空洞と枝までの高さが低いおかげで、森から切り出されることなく、この場所に残ったのでしょう。周囲の樹木より背が高く遠くからでもはっきりわかります。近づけば、幹の太さにまず驚きます。台風で大枝が折れてしまったそうですが、今なお枝ぶりは見事で、道民の森のシンボルとして愛されています。


(写真 真駒内の大ナラ)
札幌真駒内南小学校の道ばたに周囲3.1m、直径は2mに満たないが樹齢350年余のミズナラがあります。この木は地上2mくらいから5~6本の大枝に分かれて大空にたくましく延びています。かっての開拓時代、この地は馬の放牧場であり、この木陰で馬たちがのんびり草を食み、休んでいたのかもしれません。ミズダコを逆さにしたような奇妙な形の木である。凸凹のこぶがあってねじれて曲がった形のおかげで、大工の物差しにかからぬため、諦めて伐採が取りやめになり、生き延びたのでしょう。

投稿者

ヒゲの管理人(細谷)
このHPの管理人です。株式会社JML所属。昼間は貿易商人、夜はホームページ記事の作成をする人をやっています。趣味は、森林探索とカメラ。現在、山口嘉宏氏と協力して映像を使った新ビジネスにも取り組んでいます。

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